2006年3月12日(日)
ウォーク・ザ・ライン




この映画を見てきました。
「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」
アメリカの伝説的歌手ジョニー・キャッシュの伝記映画です。

ご存知かと思いますが、以前ここで紹介した通り、僕はジョニー・キャッシュの使っていたガンベルトを持っています。
キャッシュのバンドのギタリストから売ってもらったのです。
そのいきさつは、この日記の2004年11月7日に書いてありますので、そちらをご覧ください。

当時はジョニー・キャッシュと言っても日本では誰も知らなかったので、グラミー賞を取ったこともある人だ・・・などと紹介しましたが、アメリカでは知らない人がいないほどの大物です。
今回ホアキン・フェニックス主演で彼の人生が映画化され、アカデミー賞に4部門でノミネートされ、実際に主演女優賞をリーズ・ウィザースプーンが獲ったということで、いかに偉大な人物であったかがわかろうというものです。

この映画が公開されたことでジョニー・キャッシュの日本での知名度が上がったでしょう。
後で聞いた話ですが、40年ほど前に銀座の山野楽器で働いていた親戚が、当時常連を集めてジョニー・キャッシュのレコード鑑賞会などを開いたそうです。
当時のうるさ型は聞いていたんですね。

それで映画が公開されたら見に行こうかと思っていたのですが、いざ見に行く段になったら、何と都内ではもう上映が終わってしまっていたんです。
唯一新宿の高島屋の中にある中規模の映画館で上映していたので、あわてて指定席を予約しました。




行ってみたらけっこう混んでいました。
まあ他に近郊で上映館がないので当たり前かもしれません。
でも指定席を買ったのはは4人しかいませんでした(笑)

さて映画の出来ですが、これが相当良かったです。
見た後にもう一度見たいと思うほど・・・
これをこんな小規模な上映で終わらせてしまうのはどうかと思いますが、日本でのキャッシュの知名度を考えると仕方ないのでしょうか?
多分この映画を見てキャッシュのファンになる人はかなり多いと思います。

ジョニー・キャッシュという人は、子供の頃に体験した辛い体験をずっと背負って生きている人で、破滅型の人間なんですね。
同期のエルビスなんかが派手でリズミカルで軽い音楽で爆発的な人気を得たのに対し、キャッシュの曲は重くのっそりとした歌い方で地味でした。
しかしその独特の暗さが、彼の生い立ちや人生体験から得たとてつもなく重みのあるものであることに気付いた聴衆から、熱烈な支持と共感を得ました。

ドラッグに溺れ、放っておくとどんどん破滅の方向に向かってしまうキャッシュを救うのは、カッチリとした性格の典型的な南部女性・ジェーン・カーターの存在です。
男が成功するにはこういうタイプの女性が不可欠であることの典型ですね。
キャッシュは何度となく破滅寸前まで堕ちていきますが、考えてみればその原因は、ジェーンの心をなかなか自分のものに出来ないことです。

ホアキン・フェニックスはよくぞここまで頑張りましたね。
全部自分で実際に歌っています。
彼にこそアカデミー賞をあげたかったです。




これも何かの縁と、キャッシュのガンベルトを手に入れてから、キャッシュのアルバムをいくつも購入し聞いていました。
映画の中で曲が演奏されるたびに、すべて知っている聞きなれた曲だったので、鳥肌が立つような感激がありました。
圧巻はやはりフォルサム刑務所でのコンサートでしょうね。
凄いエネルギーに圧倒されます。

ジェーンとの関係については、カーターファミリーの一員であるジェーンとの再婚が彼には吉と出た・・という程度のことしか知らなかったので、これほどの劇的なストーリーであったことを初めて知りました。
今まで何気なく聞いていた彼の歌の、背景に潜んでいた物語が明らかになり、個人的には点と点が線で結ばれるような思いの映画でした。
今もジョニー・キャッシュのアルバムを聞きながらこれを書いています。

Mrs.COLKIDの感想
「久々に見たCGに頼らないまっとうな映画だった。こういう暗い生い立ちの人がアメリカには大勢いるのだろうけれど、ジョニー・キャッシュは成功した数少ない例なのだろうと思った。見応えがあってとても良かった」

久しぶりにキャッシュのガンベルトを引っ張り出してきて写真に撮ってみました。
見るとアンディ・アンダーソンから1965年に贈られていますね。
まさにキャッシュの全盛期です。
これにキャッシュの汗がしみこんでいるかと思うと、感激もひとしおです。